子どものうちは、真面目で大人がラクちんな子どもが好まれる。
勉強も運動もしっかりする聞き分けの良い子ども。
わがまま言ったりせず人に迷惑をかけない子ども。
喫煙も飲酒もしない校舎の窓ガラスも割らない、そんな子ども。
でも、大人になると「昔は悪かった」がなぜか幅を効かせる。
昔、大人たちの中で「悪い子ども」だったはずなのに、
それがいい感じにその人の付加価値になっていくのだ。
今はこんなに立派になって…といったふうだ。
そして昔から「良い子ども」で居ざるを得なかった子どもは、
どうしたものか大人になると色褪せ始める。
なんだか真面目でつまらない人…といったふうだ。
間違いもおかさず、迷惑をかけまいと生きてきたはずが、
大人になったらつまらない人間呼ばわりとはあんまりだぜ。
結局のところ大人の言うことなんてのはその程度のものだ。
長期的に考えて本当にいいアドバイスを伝えてるのではなく、
(そういう大人もほんのたまにはいるのだけれど)
自分がラクちんで納得できるようなことを言ってるだけ。
大人だって自分がイチバンの人間ですから。
だから、いろんな人がいろんなことを言うけれど、
信じたい人だけを信じて生きていけばいいのだ。
信じられることだけを励みに生きていけばいいのだ。
朝井リョウさんの「何様」を読んでいてそんなこと思いましたとさ。