ユータロの日記

考えたこと、日々のこと、彼とのこと。

【書評】アメリカ黒人の歴史

Black Lives Matterの運動もあり、

1冊くらいは関連本を読んでおこうと思い、

書店で特集が組まれていた棚から選んだ一冊。

 

アメリカが植民地だった時代から現代まで、

アフリカ系アメリカ人の人々がどのような扱いを受け、

どのような辛い環境で生き、闘っているのか、

順を追って説明されていて分かりやすかった。

ただ、キーパーソンやきっかけとなる出来事が多く、

一度読んだだけではすべてを理解するのは難しかったかな。

 

一つだけ言えるのは、アフリカ系アメリカ人の人々は

常に資本家や権力者に利用されてきたのだということ。

 

プランテーション〜重工業の時代には労働力になり、

産業構造が変化し、不況になればまず切り捨てられ、

政治的にも経済的にも利用されてきた。

現代では世界的な有名人や成功者も増え、

遠い海の向こうの日本から見れば、

一見、差別は少なくなったように思えるが、

富裕層、中産階級アフリカ系アメリカ人が増えた一方で、

それ以上の貧困層が存在しているんですよね。

一度、貧困層に追いやられると、なかなか抜け出せない。

犯罪や暴力、低賃金労働と関係を切れない。

そうすると人種全体のイメージも悪化し、差別はなくならない。

本当に悪循環になっているんだなと感じますね。

アフリカ系アメリカ人全体に門戸が開かれていなかった頃は

みなの気持ちも同じ方向に向かいやすかったけれど、

今は人種の中でも貧富の差が広がっており、

必ずしも利害が一致しないようになっていて、

問題は一層複雑になっているように思います。

 

自由と民主主義の旗振り役のアメリカも

多くの犠牲と抑圧の上に成り立っていると思うと、

なんだかそれが正しい国とは思えません。

中国にしても多くの犠牲や抑圧の上に成り立っています。

世界で1位2位の経済力を持ち、技術革新を進める両国ですが

僕は2国がこれからの世界が目指すべき方向とは思いません。

多様性を受け入れ、賢く優しく生きていくのが

21世紀の理想の国だと信じています。

日本もそろそろ変わっていきたいですよねー。