ユータロの日記

考えたこと、日々のこと、彼とのこと。

【書評】わかりやすさの罪

いつもさまざまな気づきを下さる

ライターの武田砂鉄さんの著書を読みました。

わかりやすさの罪

わかりやすさの罪

 

本の中で繰り返し述べられているのは、

情報を受け手にわかりやすく加工して提供することで、

受け手が考えたり、混乱させられたりする機会が減り、

思考や議論が省略されてしまっているのではないか、

ということ。

誰かが話したこと、考えたこと、起こったこと、を

完結かつキャッチーにまとめてお届けすることで

忙しい現代人に価値を提供している、とも言えるけど、

本当にそんなことが必要なんだろうかと思う今日このごろ。

別に知らなくても良い誰かの不倫問題だったり、

元芸能人の近況だったり、関係ない儲け話だったり、

誰かと誰かの不仲説だったり、テンプレの感動話だったり‥

最近はあまりに不必要に思える情報が多いので

我が家ではテレビをつけている時間が減ってきた。

本当なら複雑でわからないことが多いトピックでも

わかりやすく説明してくれるもんだから、

すぐに悪者と言われている人が叩かれる。

叩く人はキャッチーな情報を鵜呑みにして叩くもんだから

本当のところどうなんだろうね?という自問をしない。

発信する人はすぐにみんなが反応してくれるように

情報を加工したり、誇張したりすることに慣れてしまった。

みんな「わからない」という状態に耐えられないから、

わかりやすいまとめを見て反応するか、

わからないならもう無視するか、

といった態度をとるようになってしまった。

「わからない」ままにあれこれと考え想像することが減り、

毎日のように更新されるわかりやすい情報を消費している。

 

「わからない」状態は確かにスッキリしないけど、

「わからない」状態でいていいし、

簡単に何もかもわかるはずはないんだよね。

それは他人のことも、自分のことも。

わかりやすく説明してくださいと言っている時点で

自分から歩み寄ることを拒否しているようにも思える。

何もかも理解し納得するという態度よりも、

わからないことも多いけど、

考え続けるという態度でありたいと思った。